今、知人とのLINEでこんな話になった。
「ゲーセンって未だに行くだけでワクワクする」
これには大いに同意した。ゲームセンターという場所には、今でも独特の高揚感がある。ただ、一つ気になったことがあった。それはゲーセンの雰囲気とは、世代ごとに全部違うものを体験してきてるはずだということ。
ゲームセンターという単語は共通言語のように思えるが、実際にはその言葉から連想される風景は世代によってかなり違うのではないだろうか。
例えば僕の場合、「ゲーセン」と聞くと、まず格闘ゲームの対戦台が思い浮かぶ。
筐体に座り、100円玉(僕は専ら50円ゲーセンに通っていたが)を投入する。乱入される緊張感。対戦が始まった瞬間に周囲から少し人が集まる空気。そこにシューティングゲームやアクションゲームが並び、音楽ゲームは『beatmania』や『ギタドラシリーズ』が出始めた頃。
僕にとってのゲームセンターは、そういう場所だ。
しかし、10歳ほど年上の人にとっては違うかもしれない。
その世代が思い浮かべるゲーセンは、『グラディウス』や『ドルアーガの塔』、『ゼビウス』や『スペースハリアー』が現役だった時代ではないだろうか。
まだ家庭用ゲーム機の性能がアーケードに追いついておらず、最先端のゲームを遊ぶ場所としての意味が今よりずっと大きかった頃だ。大型筐体や体感ゲームが現れた時の衝撃も、きっと僕の世代より大きかったはずである。
逆に、今の20代前半くらいの人にとってはどうだろう。格ゲーの対戦台よりも、クレーンゲームやメダルゲーム、プリクラの方が身近かもしれない。あるいは『maimai』や『CHUNITHM』、『太鼓の達人』といった大型の音楽ゲームこそが、ゲームセンターの中心風景だった人もいるだろう。
もっと若い世代になると、ゲームを遊ぶ場所というより、友達と遊びに行く娯楽施設のイメージが強い可能性すらある。考えてみれば不思議な話だ。同じ「ゲームセンター」という単語を使っているのに、頭の中に浮かんでいる映像が全然違うのである。
テレビという言葉だって、ある人はブラウン管テレビを思い出し、ある人は薄型液晶テレビを思い出し、もっと若い人はテレビそのものよりYouTubeを見るモニターとして認識しているかもしれない。言葉は同じでも、その背後にある体験が違う。
ゲームセンターという場所は、おそらく日本の娯楽施設の中でも特に変化の激しかった場所のひとつだろう。インベーダーゲームの時代があり、アーケードゲーム黄金期があり、格闘ゲームブームがあり、音楽ゲームブームがあり、プリクラ全盛期があり、そして今はクレーンゲームが大きな存在感を持っている。
ひとつの場所が、数十年の間に何度も主役を入れ替えてきた。
だからゲームセンターという言葉は、実は単なる施設名ではなく、その人が青春時代に見ていた景色を呼び起こす言葉なのかもしれない。
50歳の人が思い浮かべるゲーセンと、40歳の人が思い浮かべるゲーセンと、30歳の人が思い浮かべるゲーセンと、20歳の人が思い浮かべるゲーセンは、おそらく全部違う。
それでも全員が「ゲーセンっていいよな~」と言えるのは少し面白い。
共有しているのは風景ではなくて、きっと。
その場所に足を踏み入れた時の、あの独特のワクワク感なのだろう。