アーケードカードゲームにおける「キメラカード」をご存じだろうか。
これは、カード裏面に印刷された特殊インクでゲームデータを読み取る仕組みを利用し、複数のカードを切り貼りすることで、意図したデータを持つカードを作り出してしまう手法である。ここでは『ロードオブヴァーミリオン』におけるキメラカードの話をしたい。
例えば、コモンカードを2枚組み合わせることで、本来は高額なレアカードと同等のデータを持つカードを作ることができてしまう。どのカードを組み合わせれば何が生まれるのか、その法則性については、時間のあるプレイヤーたちが試行錯誤を重ねて見つけているようだ。
本来は入手難度が高く、金銭的な負担も大きいカードを、比較的簡単に再現できてしまうことから、この手法は一定の広がりを見せているらしい。
先日、初対面のプレイヤーと話す機会があったのだが、その人は高額カードのキメラを持ち歩いているとのことで、実物を見せてもらった。彼の主張はおおよそ次のようなものだった。
「カードが高価なのだから、キメラをするなというなら代わりにカードを譲ってほしい」
「このゲームの寿命も長くはないだろうし、皆がやっているのならこれくらいは許されるのではないか」
まず、「カードが高いならやめろというならカードをくれ」という意見についてだが、これは的外れだ。ATCGに限らず、ゲームというものは本質的に平等ではない。
特にATCGにおいては、全員が同じカード資産を持った状態での公平な対戦など存在しない。カードを入手するための資金や、そこに費やしたプレイ回数も含めて、いわばその人の実力の一部なのである。
「学生だからお金がない」「社会人だがそこまで課金できない」といった事情は理解できるが、それを理由に正当化するのは筋が通らない。言ってしまえば、どれだけお金をかけるかという点も、そのゲームに対する情熱や取り組み方の一側面である。そこに対してソーシャルゲーム的な批判を持ち出すのは的外れであり、そもそもATCGにはコレクション要素が含まれていることを忘れてはいけない。
アーケードゲームにはさまざまな形の「情熱」がある。
格闘ゲームであれば、技術を磨くことやキャラクターへの愛情。ATCGであれば、カードを集めること、あるいは苦労して手に入れたカードを使うことに価値を見出す人もいる。
すべてのプレイヤーがそうとは限らないにせよ、そうした価値観が確かに存在している以上、キメラカードの使用は、それらの積み重ねを軽んじる行為である。もしあなたがキメラカードを使っているにも関わらず、「ゲームに対する情熱」というものを少しでも尊重するタイプのプレイヤーであるならば、自分の行為が他者の努力や熱意に少なからず影響を与えているという後ろめたさを意識する必要があるはずだ。